村上ファンド側が、阪神タイガース球団の株式上場を提案したそうですね。もっとも、親会社をコントロールする立場に就いたところで、実際は野球協約の壁がありますからそう簡単にことが運ぶとは思えませんが。
ワタシは、全12球団という限定された範囲においてプロ野球が運営されているという特殊な環境を考えると、次の理由で株式上場には賛成できません。
・日本のプロ球団は完全な独立採算制ではなく、財務面において親会社に依存するウェートが非常に高い。ゆえに、親会社と球団あるいは球団どうしが運命共同体にならざるを得ない現時点の状況においては、組織の安定を図る方が好ましい。
・「代替品」が容易に入手できない。極端な話、首都圏在住のワタシにとっては放送局あるいは新聞社・あるいは金融機関がひとつやふたつぶっ潰れても取り立てて影響はない。別の選択肢を探す余地があるから。しかし、阪神タイガースという球団は、ファンにとっては唯一無二に等しい(いや、どの球団のファンであってもその思い入れはタイガースファンのそれと変わらないと思う)存在であり、それこそ『余人を持って代え難い』存在だから。昨年の近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの合併劇を思い起こしてほしい。
・プロ野球には公共財あるいは文化としての側面がある。前に書いたように、球団が独立採算制でないからこそある程度採算を度外視できる土壌がある。これが、いわゆる資本の論理と相容れないのは明らか。もっとも、現在の経営者たちはそれに胡座をかいており、逆に資本の論理を踏まえたシビアな経営努力を怠っていることは確かだが、少なくとも現在の運営体制は、各球団が独立採算制でない点がかえってメリットになっている面も否定できない。
タイガースファンあるいは野球ファンに限らず、特定のチームとか選手に思い入れのあるヒトたちの消費行動って単なる損得勘定じゃないんですよね。ワタシも、チケットはもとより各種グッズあるいはそれらに伴う飲食まで含めて、今年はエンタメ関連に結構おカネを使いましたから。今後も、鶴瓶師の落語会やチリヌルヲワカのライヴなどでおカネを落とす予定です(笑ぃ 娯楽を追求する立場にとっては、試合やコンサートや高座に行くこと自体は「経済的な」充足感を得るためじゃないんですよ。タイガース球団の株式が上場されたら自分も株式を購入して経営の一端を…なんてことを言ってるファンのヒトがいますけど、宝くじと株式を混同してませんか?いったん株式が公開されれば、圧倒的な資金力の前では個人は無力です。ワタシは、ダウが将来2万円を越えるようなことがあっても、根拠のない噂で相場が動くようなところにカネを投じようとは思いません。
最後に、ワタシが村上世彰氏に言いたいのはこの一言に尽きます。コトバづかいを間違えると、ドロボウ企業エイベックスの戦略にまんまとはまってしまった2ちゃんねる(2ちゃんねらー)みたいになりかねませんので慎重に(笑ぃ
『こらムラカミ!空気嫁!これからパシフィックリーグのプレーオフが盛り上がろうって時期にこんな騒ぎを起こしやがって。自分は阪神ファンだとか取って付けたような言い訳してるんじゃねぇ。てめぇが本当に好きなのはカネだけだろっての。とっとと失せろ!』
そうそう、仮に、今後2ちゃんねるの野球板あたりに村上世彰氏へ直接危害を加える内容の書き込みがされたら、マスメディア諸氏はやっぱり2ちゃんねるを悪者扱いするんですかね?それとも、その矛先は阪神タイガースのファンに向けられるんでしょうかね?ケツの穴の小さいエイベックスと違い、村上氏はそんなことがあっても超然とした態度で構えてるでしょうけど。