正直、平下とか早川とか斉藤やらのトレードとはわけが違う。
新たに鴎の一員に加わることになった工藤くんには何の落ち度もない(むろん熱烈に声援を送る所存)が、今回のサブローのトレードに関しては「またか」の印象がどうしても拭い去れない。
フロントは2005年小坂放出の時と同じ愚を繰り返した。これだけは間違いなく言える。
高年俸の選手を放出して人件費を抑制するのは当然。MLBじゃ日常的に行われていることだし、そんなことは百も承知。ただ、プロ野球は単純な営利企業ではないし、ファンだって損得勘定で応援しているわけではない。さらに言えば、うちらジャパニーズはメリケンほどドライじゃない。そういう背景を斟酌することもせず「経営上必要だから」と資本の論理を振りかざされることほど俺にとって不愉快なことはないのだ。
今年1月に刊行された「野球小僧」2月号に掲載された「弱小チーム脱却の実例」において、かつて千葉ロッテマリーンズで編成部長の職にあった宮田隆氏が2005年の「小坂讀賣ドナドナ事件」を「ファンに対して明確に説明できるものではなかった」と述懐されていた。以前ブログにも書いたが、瀬戸山隆三氏が当時出演したLF「川淵三郎の行こうぜ俺たちのニッポン」という番組で、小坂放出の経緯を語っていた。瀬戸山氏は、「後進が台頭してきたので今後は出場機会が減少する。以前からジャイアンツには声をかけてもらっていたので(トレードに)応じることにした」というようなことを語っていたと記憶している。このトレードが、小坂自身にとってどれだけ有益だったかと問えば、(本人はともかく)ジャイアンツ時代の彼がどれだけ活躍したかを考えれば首をひねるファンが大多数だろう。だいたい、サブローが水道橋球場のライトでレーザービーム発射しまくりなんて想像できるか?反対に、鴎にやってくる工藤くんはそれこそ外野のスーパーサブ的な位置づけにはなるだろうが、竹原放出との関連はどう説明する?
百歩譲って「勝つため」と割り切るにしても、だ。結果に応じて責任を取るのは数字(成績)で評価される者の宿命。確かに、紆余曲折はあったとはいえ西岡剛が立派に後を継いだ形になったのは事実だ。だが勝てたか?決して勝ててないだろう。2006年以降のマリーンズが常勝軍団とか言える成績じゃないのは周知の事実。まして、その西岡にポスティングシステムで出て行かれた後の今季の鴎はどうだ?外野は人材がダブつき気味だし、反対に内野はどうなんだ?ショートなんか荻野貴がリタイヤしたら迷走しっぱなしじゃないか。金泰均にしても十中八九このままバイバイだろうし、だからとってこのまま福浦が出ずっぱりでこと足れりとでも思うのか?
まぁアチャが内野のユーティリティ(ホセオーティズみたいな存在?)に回るであろうことは容易に想像できるが、昨年以前から抑え投手問題を未だに引きずっているように、どうもこの球団からは(財務状況改善が最重要課題なのはわかるが)長期的な展望が見えてこないのだ。短期の結果を追求する…例えばソフトバンクが立て続けに他チームの主力クラスを獲得したようなドラスティックな人事異動を敢行するのならわからなくもないが、2006年以降でそんなことをどんだけやったのと。で成功したのかと(苦笑 まぁBV氏を切った状況からそんなことは推して知るべしなんだが。かといって、里崎以降の後継捕手がなかなか決まらないように、5年以上のスパンを見越した編成がなされているかというとこれもはなはだ疑問。
正直、このまま瀬戸山と石川がトップでいていいのか…?と私は思うのだ。重光一族が球団経営に興味を失ったら(あるいは失脚したら)、千葉ロッテマリーンズは(釜山ロッテジャイアンツも?)消滅するかもしれないな。いや、むしろそれが重光さんちの究極の目標なのかもしれない…